映画とインテリアブログ 「第37作目」
最近のマイブームは今更ながら「ハウス・オブ・カード」
あの「セブン」「ソーシャル・ネットワーク」など質の高い映画を撮り続ける
デビッド・フィンチャー監督が制作総指揮を務め、ケビン・スペイシーが
主演する弱肉強食の政治世界を描いたネットドラマです。
こういうシリーズドラマは昔からTVと映画の視聴層の違いもあって、
どうしてもチープな内容に甘んじていた印象があり、
映画よりも下に見られている傾向にありました。
ビバリーヒルズ青春白書のような・・(あれはあれで結構、好きでしたがw)
しかし近年、徐々に量、質共に変化が表れ出し、この「ハウス・オブ・カード」で
その需要と供給の新時代の幕開けは決定的になったと思います。
何しろあのデビッド・フィンチャーです。
シリーズドラマというジャンルがまとう雰囲気から一番遠い場所に位置づけされる
スタイリッシュで切れ味鋭い映画と撮る監督が連作ドラマを作るという話を聞いた時は
耳を疑いました(余談ですが、「ファイトクラブ」は私的オールタイムベストです!!)
更に演技派のケビン・スペイシー主演で彼は制作にも関わっていると。
そしてその出来栄えは当然と言うべきかネットドラマとして初めて
エミー賞三部門を受賞した事でも証明されました。
そんなニュースを耳にしながらも、シリーズ物にハマる事の時間の代償を恐れて
ずっと先送りしてきましたが、1話目を観たが最後、抜け出せなくなったのです(苦笑)
しかし、地位も名声もある監督が今に及んで
ネットドラマを手掛けるメリットがあるのでしょうか?
その秘密は制作過程にありました。
この作品の制作元は全世界に8300万人の加入者を持つ
ネットストリーミング配信会社の「ネットフリックス」
その膨大な加入者の視聴傾向データを元にどういう作品を作れば、ウケるかという
確信を得た上の逆算の方法論で企画された作品なのです。
そして破格の1億ドルという制作費を投入し、
出来上がった作品も小出しにするのではなく、シリーズ 13話を一気に配信したのです。
その制作費の出資元が1つであると云うことは
スポンサーの意向を気にせず映画を作れると云うことです。
これは映画というビッグビジネスに絡む企業の多さに因る弊害に苦しむ
制作サイドにとっては革新的な魅力だったはず。
アーティスト気質のフィンチャー監督が自分のクリエイティビティを
存分に発揮する環境を求めてと考えれば納得の成り行きですね。
これまでのシリーズドラマは出だしは元気が良いが、次第に息切れが目立ち、
話の為の話をでっち上げるような竜頭蛇尾の作品が多かったですが、
このような制作過程を踏んだ「ハウス・オブ・カード」はそのような中だるみがなく、
緊張と質を保った良質の600時間弱の映画といえるでしょう。
完璧主義のフィンチャー印が隅々まで見受けられ、
手抜きは一切、感じられず数年に一度の彼の最新作を待ち望み続けた者としては
彼の世界観に長時間浸っていられることは至福以外の何物でもありません。
美術も確り作り込んでいるので、映り込む家具、インテリアも非常にセンスが良く、
ハイクラスでコンサバティブなインテリアやスタイリッシュな空間演出は
好き者の目も愉しませてくれる事を保証します。
この2013年に1シリーズが作られた今作から、
ネットドラマの隆盛は留まるところを知らず、
今では著名な映画監督、俳優達がネットドラマに関わっていることは珍しい事ではなくりました。
このような事態に映画の作り方、配給の仕方も変化せざるを得ないでしょうね。
その変化が質の高い作品を提供する後押しになるのであれば、
受け手としては映画であろうとネットドラマであろうと大歓迎です。
練られた脚本、重厚な演技、仕事術という観点で見ても非常に面白い作品です。
(仕事術は真似すると大火傷しそうですがw)
一味違う大人のドラマに飢えた人に自信を持ってオススメします!!
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