映画とインテリアブログ 「第26作目」
このコラムを読んでいる方で先の大雨の被害に遭われた方はいないでしょうか?
TVの画面越しから目に飛び込んでくる現地の甚大な被害の映像は
自然の本当の怖さとその隣りで生活している我々の脆さを改めて突き付けてきますね。
一刻も早い現状復帰が為される事を切に願います。
さて、このところ映画を観る量が増えていると前回、書きました。
その作品達の中でも特に楽しめた映画を今回、ご紹介します。
「シェフ 三ツ星フードトラック始めました」
監督、主演、脚本、制作:ジョン・ファブロー 2014年公開
観る気の失せる邦画タイトルは無視してもらって(苦笑)
お気軽に観れ、尚且つ映画としての完成度も高い自信を持ってオススメ出来る映画です。
監督、主演を含め、一人4役を務めたジョン・ファブローは元々、役者さんで
有名どころだと「アイアンマン」などの監督でもある才人です。
この映画はかなり低予算であると思いますが、チープ感は皆無。
アイデアと演出の妙でスタイリッシュ且つ、
エンターテイメント的に抜群に面白くなっています。
特にこの映画は料理を作るシーンが非常に多いのですが、それらの料理が
反則的に美味しそうに見えるんです!
そして厨房で、自宅のキッチン、題名にあるフードトラックの中でと
そのシチュエーションは様々ですが、それらの魅力的な料理を作るキッチンは
料理と共にこの映画の脇役として心地よいフックを与えています。
そこで今回は映画の中の「Kitchen」に焦点を当ててみたいと思います。
キッチン(厨房)が印象に残る映画として
「ディナーラッシュ」「エル・ブリ」
この2つの映画を挙げたいと思います。
「ディナーラッシュ」
監督: ボブ・ジラルディ 2002年公開
「ディナーラッシュ」はNYのイタリアンレストランを舞台にしたサスペンス。
メチャクチャ忙しい人気店の戦場のような厨房の空気感を余す事なく演出しながらも、
サスペンスのドキドキ感も同時進行で持続させる事に成功している佳作です。
シェフを演じたエドアルド・バレリーニが超クールなのと、
厨房の現場雰囲気がとてもスタイリッシュです。
それもそのはず、この映画の監督のボブ・ジラルディは
この映画の舞台になったレストランの実際のオーナーなんです!!
(ハリウッド俳優がレストランのオーナーというのは枚挙に暇はないですがw)
この臨場感のリアルさも納得ですね。
未見の方には是非とも観て頂きたい映画です。
「エル・ブリ」
監督: ゲレオン・ヴェツェル 2012年公開
こちらは2011年に惜しまれつつ閉店し、「世界一予約の取れないレストラン」と称された
スペインのレストランの日常を追ったドキュメンタリー映画です。
料理も独創的なのは当然として、厨房、使用するカトラリーに至るまで非常に洗練されています。
エル・ブリは料理の前にお客様に厨房を見学してもらい、
食後は厨房で別れの挨拶をするというスタイルを取っているので、
閉じられた空間としてのキッチンではなく、「見られる事を意識したキッチン」なのです。
そのようなコンセプトのキッチンを見られるのもこの映画の醍醐味です。
キッチンはある意味、インダストリアルデザインと共通する機能美があると思います。
無駄を削ぎ落とし、効率化を意識した無骨さの中に「美しさ」が宿る。
そして、そこにはただ単にキッチンだけで完結する美しさだけではなく、
使う人の存在が加わる事で完成する美しさだと思います。
優れた料理人の技量、美意識が反映する空間。
オープンキッチンのレストランや寿司屋さんのカウンター内など、
食事を愉しむ前に少し、意識して覗いてみてください。
目から得る滋養は食事をもっと豊かにするかも知れません。
さて、私も帰ってキッチンを整理整頓するとしますかw
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