映画とインテリアブログ 「第31作目」

冷え込む日々の中にも春の予感を見つけられる事が多くなってきましたね。
冬は夏が恋しくなり、夏になれば冬が待ち遠しくなる。人の気持は勝手なものですが、
そんな身勝手もシカトして規則正しく巡る季節がある日本は本当に豊かな国ですね。

最近、昔の映画を良く観ます。
今の時代、テクノロジーや確立した技術を投入すれば才能、情熱がなくとも
ある程度の観るに耐え得る映画を作ることはさほど難しくないと思いますが、
制作環境が整わない当時でも工夫とアイデアで
今、観ても驚きと面白さを備えた映画に出会えるのは映画鑑賞の醍醐味ですね。

そんな色褪せない映画を撮り続けた監督。

「アルフレッド・ヒッチコック監督」

を今回、取り上げたいと思います。

ヒッチコックヒッチコックほど外見も含めて世の中に認知された監督はいないのではないでしょうか?
あまりヒッチコックの事を知らない人でも写真を見れば・・・
「あー、この人知ってる」
となる俳優を超えるほどの世界的認知を得た監督を僕は知りません。

定番の自身の映画でのカメオ出演やイギリス人独特のユーモアがクローズアップされる事が多いですが、生み出された作品の完成度はやはり隙のないもので、その制作手法が以後の映画製作に多大な影響を与えた事は近代映画の礎を築いたと行っても過言ではないでしょう。

ヒッチコックの代表作が並ぶ1950年代、60年代は折しも、ミッドセンチュリーインテリアの全盛期。
映画に登場する部屋、家具一つ取っても往時の雰囲気が良く伝わってくると共にヒッチコックの映画同様、色褪せない輝きを放っています。

そんなヒッチコック映画の中のインテリアとオススメの作品を紹介します。

「北北西に進路を取れ」

1959年9月(日本)公開

この作品をヒッチコック最高傑作と推す人も多いのも納得の面白さです。
見所としては主演女優 エヴァ・マリー・セイントの美しさと、
劇中のあるシーンで舞台となるフランク・ロイド・ライト的な別荘が非常にスタイリッシュでかっこいいです。
中のインテリアもとても品があり、ラグジュアリーなミッドセンチュリースタイルが魅力的でした。
(実際は全てセットのようです。しかし、それが逆に当時の空気感とセンスの良さを物語っていますね)

北北西に進路を取れ

北北西に進路を取れ

北北西に進路を取れ

「めまい」

1958年10月(日本)公開

これもヒッチコック監督の代表作ですね。

内容は極上のサスペンスですが、ただの謎解きだけで終わらず、
ラストシーンの何とも言えない余韻も含めて凄い映画です。
この映画もセット撮影が多いのですが、やはり部屋のシーンの小物を見ているだけでも楽しめます。

めまい

ベルトイアのサイドチェアが映っているのも雰囲気ですね。

スコティ

主人公 スコティの自宅。下のプロダクションスケッチと見比べると
その制作過程が見えてきて面白いです。

スコティ

このプロダクションスケッチからも感じられるように、映画に関わるもの全てに手抜きなく監督の美意識が行き届いているのは巨匠と言われる大監督たちの共通点ですね。
(言い換えれば「エゴが人一倍強い」とも言えますがw)

有名なこの作品のポスターもその美意識の表れです。

めまい ポスター ヒッチコック

今回はヒッチコック作品を引き合いに出しましたが、
この時代のアメリカ映画を観て思うことは「豊かな時代だったんだな」という印象です。

物質的にも、精神的にも未来に対しての前向きな時代の空気を感じます。
第二次世界大戦後、勝ち組だったアメリカの余裕がインテリアデザイン、音楽、映画に好影響を与えていたのでしょう。
Good Old days. 憧れのアメリカですね。
(今は変な髪型の人が大統領になるかもという有様ですが・・・)

まだまだ、インテリアも映画も手付かずの余白は広大です。
もっともっと掘って研究して行かなければいけませんね(笑)